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TO MY ENGELS
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ホルトレーザで飲んだカシャーサは絶品だった。サンパウロやリオのバーで飲んだのよりずっとよかった。砂糖黍で作ったブラジルの地酒ピンガをレモンで割って、砂糖を少々加える。ピリッとして爽やかなこの飲み物を、ブラジルの人々は食前食後に酌み交わし、笑い、語り、叫び、歌い、幾度も杯を乾す。祭は2月。もうすぐカーニバルだという。もうその熱気がそこここにあり、ブラジルだ、と感じるのはそういう時だ。エビを剥き、カシャーサを煽って、「ムジカ・デ・カーナバル」という歌を高らかに歌う。みんな歌う。「カシャーサとアグワ(水)がここにある。そうだ、それさえあればいいじゃないか」〜単調な節に合わせて、みんなが肩を叩き合い、心を血のように通わせて、一つの塊になってゆく。誰もがアミーゴ(仲間)になってゆく。ブラジルにはカシャーサがあった、歌があった、サンバがあった、アミーゴがいた。そしてもうひとつ。心やさしい多くの女たちがいた。私の天使たちがいた。ブラジルは、常に「祭」の国なのだった。
文・西村佳也